百薬の長という言葉は正しいようでお陰でいつになく早く治りました。ところが今度は花粉。
マッコリ飲んで寝ようっと。
年度末。出会いと別れの季節。再会する季節でもある。近くにいたり、遠くにいたり、よく会えたり、なかなか会えなかったり、環境が変わったりと、探そうと思えばいくらでも言い訳はできる。お互いが長く付き合おうと思う限りにおいて続くのが人間関係なのだろう。付き合いを続けようと思ってくれている大切な方々に感謝。
家から学校までの道で、桜がある場所をくまなく歩いて咲いていないか逐一調べてしまいました。たった二つだけ咲いていたのです。春が来ました。
開花宣言はどこかの桜がいくつか咲かないとできないそうなのですが、そんなのはどうでもいいことです。僕の目の前で咲いたのだから。
20日は上野動物園開園記念日。入場無料。きっと公園では桜がちらほら咲いていて、素敵だろう。朝9時半から開園だそうだ。少し空気も冷たく人もまばらな動物園を想像してみた。
初日、さっそく定期を切り替えた。楽しかった。誇らしげに改札を通った。隣の人はスイカで地下鉄を通っていた。その人も嬉しそうだった。みんなではっぴー。OB会でもハッピー。天気もいいしいい一日だった。
食事とか、コーヒーとか、いたずらとか、気分転換があるのはやはりいいことだと思う。僕の机の時計はいたずら好きで気分屋。時々思いついたように逆さに進む。そして思いついたように元に戻る。何度かだまされたが、普通じゃないそいつが好き。僕の机の加湿器はいたずら好き。突然水が溢れ出す。溢れたらすぐ止めて拭かねばプリント類が水浸しになるのだが、そのスリルがなかなかいい。
腹が減っては戦ができぬ、という事で、またまたらめんお勧めのラーメン屋、北の大草原という味噌ラーメン屋に行って来た。うまかった。
のみならず、楽しかった。というのも、夕方も早い時間であったからか、新人アルバイトの研修も同時にしていたのだが、どうも新人は日本語勉強中の韓国の人らしく、お酒がわからない。店員もボケをかましまくっていた。「鍛高譚」というしそ焼酎があるのだが、「チャミスルとジンロの日本版」という説明まではよかったのだが、なぜか「チャミスルとジンロは同じか違うか」という話が盛り上がり、いつまでたっても先に進まず、「しそ」の説明ができず、「葉っぱのジンロ」ということになったのだ。次に困っていたのが日本酒。常温で出すことを説明するのに、「じょーおん」「常の温度」「紙!紙!書いて説明せねば」などと、いつまでたっても進まず、結局「お酒を頼まれたら僕を呼んで」ということになっていた。
接客の説明を受けた彼は、次に入ってきた客の接客を頼まれていたのだが、そのお客さんも外国人で、片言の日本語。片言の日本語同士でコミュニケーションがとれず、結局日本の人が接客をしていた。
店員も新人さんも一生懸命で、皆優しくて必死に教えてあげてて、なのになんだかちょっとずれててユーモアがあって面白かった。ラーメンが鼻から出るかと思うくらい笑いをこらえながら食べた。
全部聞こえなかったのがまた面白かったのだ。
接客は笑顔が命!と説明するのに「韓国でも笑うでしょう?」と聞かれた新人さんは真面目な性格なのか「韓国人は笑いません」と真顔で答えていた。面接で「おかしくもないのに笑えません」と言いきった三船敏郎が浮かんだ。でもその人、さっき「メニュ覚えられないので持ってかえっていっていいですか?」って聞いた時は笑っていたのだよ。
というか、日本人同士の会話も面白かったのだ。「今日バイクで切符切られました」といったのを、他の人が聞き間違え、「バイトで切符???何してたの?」等という会話が交わされていたのだ。
お客が「ここうまいねえ。うちの会社でも話題なんだよ。坂のぼって降りて登ったとこなんだけどね」という、わけのわからん説明に「はあ。登って降りて登った左側ですか??」とまるでフラダンスのような手振りまで添えて会話に参加したりと、なんだかほんと面白かったのだ。
らーめんはマジでうまいと思った。店の雰囲気もマジでいいと思った。
最近、春だからだろうか、新人アルバイトがいたるところにいるのであって、不器用だけれども必死で、見ていて嬉しくなってくるのである。ドーナツ入れるのにやたら時間がかかるのも、あまりに必死で笑顔忘れてても、日本語わからなくても、間違えだらけでも、なんだか元気にやってるのだ。
で、で、まあ青空文庫から時々拝借してきているわけだが、今回たまたまちょっとうけるタイトルを発見した。「あばばばば」芥川龍之介。北斗の拳か、ジョジョの奇妙な冒険かに出てきそうな効果音である。
今日も楽しいこといっぱい見つけたのでゲームは勝ち。
幸福の王子
The Happy Prince
オスカー・ワイルド作
結城浩訳
町の上に高く柱がそびえ、その上に幸福の王子の像が立っていました。王子の像は全体を薄い純金で覆われ、目は二つの輝くサファイアで、王子の剣のつかには大きな赤いルビーが光っていました。
王子は皆の自慢でした。「風見鶏と同じくらいに美しい」と、芸術的なセンスがあるという評判を得たがっている一人の市会議員が言いました。「もっとも風見鶏ほど便利じゃないがね」と付け加えて言いました。これは夢想家だと思われないように、と心配したからです。実際には彼は夢想家なんかじゃなかったのですが。
「どうしてあの幸福の王子みたいにちゃんとできないの」月が欲しいと泣いている幼い男の子に、賢明なお母さんが聞きました。「幸福の王子は決して何かを欲しがって泣いたりしないのよ」
「この世界の中にも、本当に幸福な人がいる、というのはうれしいことだ」失望した男が、この素晴らしい像を見つめてつぶやきました。
「天使のようだね」と、明るい赤のマントときれいな白い袖なしドレスを来た養育院の子供たちが聖堂から出てきて言いました。
「どうしてそのようなことがわかるのかね」と数学教師がいいました。「天使など見たことがないのに」
「ああ、でも見たことはありますよ。夢の中で」と子供たちは答えました。すると数学教師は眉をひそめてとても厳しい顔つきをしました。というのは彼は子供たちが夢を見ることはよろしくないと考えていたからです。
ある晩、その町に小さなツバメが飛んできました。友達らはすでに六週間前にエジプトに出発していましたが、そのツバメは残っていました。彼は最高にきれいな葦に恋をしていたからです。ツバメが彼女に出会ったのは春のはじめ、大きくて黄色い蛾を追って川の下流へ向かって飛んでいたときでした。葦のすらっとした腰があまりにも魅力的だったので、ツバメは立ち止まって彼女に話しかけたのです。
「君を好きになってもいいかい」とツバメは言いました。ツバメは単刀直入に話すのが好きでした。葦は深くうなずきました。そこでツバメは、翼で水に触れながら彼女の周りをぐるぐると回り、銀色のさざなみを立てました。これはツバメからのラブコールで、それは夏中続きました。
「彼女はおかしな恋人だね」と他のツバメたちがぺちゃぺちゃ言いました。「財産はないくせに、親戚は多すぎるときてる」実際、その川は葦でいっぱいだったのです。やがて、秋が来るとそのツバメたちもみんな飛んでいってしまいました。
みんなが行ってしまうと、ツバメはさびしくなり、自分の恋人にも飽き始めました。「彼女は何も話してくれないしな」ツバメは言いました。「それに浮気っぽいんじゃないかと思うんだ。だって彼女はいつも風といちゃついてるんだから」確かに、風が吹くといつも、葦は最高に優美なおじぎをするのでした。「彼女は家庭的なのは認めるけれど」とツバメは続けました。「でも、僕は旅をするのが好きなんだから、僕の妻たるものも、旅をするのが好きでなくっちゃ」
とうとうツバメは「僕と一緒に行ってくれないか」と彼女に言いました。でも葦は首を横に振りました。彼女は自分の家にとても愛着があったのです。
「君は僕のことをもてあそんでいたんだな」とツバメは叫びました。「僕はピラミッドに出発するよ。じゃあね」ツバメは飛び去りました。
一日中ツバメは飛び、夜になって町に着きました。「どこに泊まったらいいかな」とツバメは言いました。「泊まれるようなところがあればいいんだけれど」
それからツバメは高い柱の上の像を見ました。
「あそこに泊まることにしよう」と声をあげました。「あれはいい場所だ、新鮮な空気もたくさん吸えるし」そしてツバメは幸福の王子の両足のちょうど間に止まりました。
「黄金のベッドルームだ」ツバメはあたりを見まわしながらそっと一人で言い、眠ろうとしました。ところが、頭を翼の中に入れようとしたとたん、大きな水の粒がツバメの上に落ちてきました。「何て不思議なんだ!」とツバメは大きな声をあげました。「空には雲一つなく、星はとてもくっきりと輝いているというのに、雨が降っているなんて。北ヨーロッパの天候はまったくひどいもんだね。あの葦は雨が好きだったが、それは単なる自己中心だったし」
すると、もう一滴落ちてきました。
「雨よけにならないんだったら、像なんて何の役にも立たないな」とツバメは言いました。「もっといい煙突を探さなくちゃ」ツバメは飛び立とうと決心しました。
でも、翼を広げるよりも前に、三番目の水滴が落ちてきて、ツバメは上を見上げました。すると――何が見えたでしょうか。
幸福の王子の両眼は涙でいっぱいになっていました。そしてその涙は王子の黄金の頬を流れていたのです。王子の顔は月光の中でとても美しく、小さなツバメはかわいそうな気持ちでいっぱいになりました。
「あなたはどなたですか」ツバメは尋ねました。
「私は幸福の王子だ」
「それなら、どうして泣いているんですか」とツバメは尋ねました。「もう僕はぐしょぬれですよ」
「まだ私が生きていて、人間の心を持っていたときのことだった」と像は答えました。「私は涙というものがどんなものかを知らなかった。というのは私はサンスーシの宮殿に住んでいて、そこには悲しみが入り込むことはなかったからだ。昼間は友人たちと庭園で遊び、夜になると大広間で先頭切ってダンスを踊ったのだ。庭園の周りにはとても高い塀がめぐらされていて、私は一度もその向こうに何があるのかを気にかけたことがなかった。周りには、非常に美しいものしかなかった。廷臣たちは私を幸福の王子と呼んだ。実際、幸福だったのだ、もしも快楽が幸福だというならば。私は幸福に生き、幸福に死んだ。死んでから、人々は私をこの高い場所に置いた。ここからは町のすべての醜悪なこと、すべての悲惨なことが見える。私の心臓は鉛でできているけれど、泣かずにはいられないのだ」
「何だって! この王子は中まで金でできているんじゃないのか」とツバメは心の中で思いました。けれどツバメは礼儀正しかったので、個人的な意見は声に出しませんでした。
「ずっと向こうの」と、王子の像は低く調子のよい声で続けました。「ずっと向こうの小さな通りに貧しい家がある。窓が一つ開いていて、テーブルについたご婦人が見える。顔はやせこけ、疲れている。彼女の手は荒れ、縫い針で傷ついて赤くなっている。彼女はお針子をしているのだ。その婦人はトケイソウ〔訳注:(passion-flower)この花の副花冠はキリストのいばらの冠に似ているという〕の花をサテンのガウンに刺繍しようとしている。そのガウンは女王様の一番可愛い侍女のためのもので、次の舞踏会に着ることになっているのだ。その部屋の隅のベッドでは、幼い息子が病のために横になっている。熱があって、オレンジが食べたいと言っている。母親が与えられるものは川の水だけなので、その子は泣いている。ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん。私の剣のつかからルビーを取り出して、あの婦人にあげてくれないか。両足がこの台座に固定されているから、私は行けないのだ」
「私はエジプトに行きたいんです」とツバメは言いました。「友人たちはナイル川に沿って飛びまわったり、大きな蓮の花に話しかけたりしています。まもなく、みんなは偉大な王の墓の中で眠ります。王もまた、そこの彩られた棺の中にいます。王は黄色の亜麻布で包まれ、香料を使ってミイラになっています。首には青緑色の翡翠の首飾りがかけられ、王の両手はまるでしおれた葉のようなんですよ」
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「もう一晩泊まって、私のお使いをしてくれないか。あの子はとても喉が乾いていて、お母さんはとても悲しんでいるのだよ」
「私は男の子が好きじゃないんです」とツバメは答えました。「去年の夏、川のほとりにいたとき、二人の乱暴な男の子がおりました。粉引きの息子たちで、二人はいつも僕に石を投げつけました。もちろん一回も当たりませんでしたよ。僕たちツバメはそういうときにはとてもうまく飛びますし、その上、僕は機敏さで有名な家系の出ですから。でも、石を投げてくるっていうのは失礼な証拠ですよね」
でも、幸福の王子がとても悲しそうな顔をしましたので、小さなツバメもすまない気持ちになりました。「ここはとても寒いですね」とツバメは言いました。「でも、あなたのところに一晩泊まって、あなたのお使いをいたしましょう」
「ありがとう、小さなツバメさん」と王子は言いました。
そこでツバメは王子の剣から大きなルビーを取り出すと、くちばしにくわえ、町の屋根を飛び越えて出かけました。
ツバメは、白い大理石の天使が彫刻されている聖堂の塔を通りすぎました。宮殿を通りすぎるとき、ダンスを踊っている音が聞こえました。美しい女の子が恋人と一緒にバルコニーに出てきました。「何て素晴らしい星だろう」彼は女の子に言いました。「そして愛の力は何と素晴らしいことだろう」
「私のドレスが舞踏会に間に合うといいわ」と女の子が答えました。「ドレスにトケイソウの花が刺繍されるように注文したのよ。でもお針子っていうのはとっても怠け者だから」
ツバメは川を越え、船のマストにかかっているランタンを見ました。ツバメは貧民街を越え、老いたユダヤ人たちが商売をして、銅の天秤でお金を量り分けるのを見ました。やっと、あの貧しい家にたどり着くと、ツバメは中をのぞき込みました。男の子はベッドの上で熱のために寝返りをうち、お母さんは疲れ切って眠り込んでおりました。ツバメは中に入って、テーブルの上にあるお母さんの指ぬきの脇に大きなルビーを置きました。それからツバメはそっとベッドのまわりを飛び、翼で男の子の額をあおぎました。「とても涼しい」と男の子は言いました。「僕はきっと元気になる」そして心地よい眠りに入っていきました。
それからツバメは幸福の王子のところに飛んで戻り、やったことを王子に伝えました。「妙なことに」とツバメは言いました。「こんなに寒いのに、僕は今とても温かい気持ちがするんです」
「それは、いいことをしたからだよ」と王子は言いました。そこで小さなツバメは考え始めましたが、やがて眠ってしまいました。考えごとをするとツバメはいつも眠くなるのです。
朝になると、ツバメは川のところまで飛んでいき、水浴びをしました。「何と驚くべき現象だ」と鳥類学の教授が橋を渡りながら言いました。「冬にツバメを見るなんて」それから教授は、このことについて長い投書を地方新聞にあてて書きました。みんながその投書を話題にしました。でも、その投書は人々が理解できない単語でいっぱいでした。
「今夜、エジプトに行きます」とツバメは言いました。ツバメはその予定に上機嫌でした。町中の名所をみな訪れてから、教会の尖塔のてっぺんに長い時間とまっていました。ツバメが行くところはどこでもスズメがチュンチュン鳴いていて、「素敵な旅人ね」と口々に言っていましたので、ツバメはとてもうれしくなりました。
月がのぼると、ツバメは幸福の王子のところに戻ってきました。「エジプトに何かことづけはありますか」と声をあげました。「もうすぐ出発しますから」
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「もう一晩泊まってくれませんか」
「私はエジプトに行きたいと思っています」とツバメは答えました。「明日僕の友達は川を上り、二番目の滝へ飛んでいくでしょう。そこではパピルスのしげみの間でカバが休んでいます。そして巨大な御影石の玉座にはメムノン神が座っているんです。メムノン神は、星を一晩中見つめ続け、明けの明星が輝くと喜びの声を一声あげ、そしてまた沈黙に戻ると言われています。正午には黄色のライオンが水辺に水を飲みにやってきます。ライオンの目は緑柱石のようで、その吠え声は滝のごうごうという音よりも大きいんですよ」
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「ずっと向こう、町の反対側にある屋根裏部屋に若者の姿が見える。彼は紙であふれた机にもたれている。傍らにあるタンブラーには、枯れたスミレが一束刺してある。彼の髪は茶色で細かく縮れ、唇はザクロのように赤く、大きくて夢見るような目をしている。彼は劇場の支配人のために芝居を完成させようとしている。けれど、あまりにも寒いのでもう書くことができないのだ。暖炉の中には火の気はなく、空腹のために気を失わんばかりになっている」
「もう一晩、あなたのところに泊まりましょう」よい心をほんとうに持っているツバメは言いました。「もう一つルビーを持っていきましょうか」
「ああ! もうルビーはないのだよ」王子は言いました。「残っているのは私の両目だけだ。私の両目は珍しいサファイアでできている。これは一千年前にインドから運ばれてきたものだ。私の片目を抜き出して、彼のところまで持っていっておくれ。彼はそれを宝石屋に売って、食べ物と薪を買って、芝居を完成させることができるだろう」
「王子様」とツバメは言いました。「私にはできません」そしてツバメは泣き始めました。
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「私が命じたとおりにしておくれ」
そこでツバメは王子の目を取り出して、屋根裏部屋へ飛んでいきました。屋根に穴があいていたので、入るのは簡単でした。ツバメは穴を通ってさっと飛び込み、部屋の中に入りました。その若者は両手の中に顔をうずめるようにしておりましたので、鳥の羽ばたきは聞こえませんでした。そして若者が顔を上げると、そこには美しいサファイアが枯れたスミレの上に乗っていたのです。
「私も世の中に認められ始めたんだ」若者は大声を出しました。「これは誰か、熱烈なファンからのものだな。これで芝居が完成できるぞ」若者はとても幸福そうでした。
次の日、ツバメは波止場へ行きました。大きな船のマストの上にとまり、水夫たちが大きな箱を船倉からロープで引きずり出すのを見ました。箱が一つ出るたびに「よいこらせ!」と水夫たちは叫びました。「僕はエジプトに行くんだよ!」とツバメも大声を出しましたが、誰も気にしませんでした。月が出るとツバメは幸福の王子のところに戻りました。
「おいとまごいにやってきました」ツバメは声をあげました。
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「もう一晩泊まってくれませんか」
「もう冬です」ツバメは答えました。「冷たい雪がまもなくここにも降るでしょう。エジプトでは太陽の光が緑のシュロの木に温かく注ぎ、ワニたちは泥の中に寝そべってのんびり過ごしています。友人たちは、バールベック寺院の中に巣を作っており、ピンクと白のハトがそれを見て、クークーと鳴き交わしています。王子様。僕は行かなくちゃなりません。あなたのことは決して忘れません。来年の春、僕はあなたがあげてしまった宝石二つの代わりに、美しい宝石を二つ持って帰ってきます。ルビーは赤いバラよりも赤く、サファイアは大海のように青いものになるでしょう」
「下のほうに広場がある」と幸福の王子は言いました。「そこに小さなマッチ売りの少女がいる。マッチを溝に落としてしまい、全部駄目になってしまった。お金を持って帰れなかったら、お父さんが女の子をぶつだろう。だから女の子は泣いている。あの子は靴も靴下もはいていないし、何も頭にかぶっていない。私の残っている目を取り出して、あの子にやってほしい。そうすればお父さんからぶたれないだろう」
「もう一晩、あなたのところに泊まりましょう」ツバメは言いました。「でも、あなたの目を取り出すなんてできません。そんなことをしたら、あなたは何も見えなくなってしまいます」
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「私が命じたとおりにしておくれ」
そこでツバメは王子のもう片方の目を取り出して、下へ飛んでいきました。ツバメはマッチ売りの少女のところまでさっと降りて、宝石を手の中に滑り込ませました。「とってもきれいなガラス玉!」その少女は言いました。そして笑いながら走って家に帰りました。
それからツバメは王子のところに戻りました。「あなたはもう何も見えなくなりました」とツバメは言いました。「だから、ずっとあなたと一緒にいることにします」
「いや、小さなツバメさん」とかわいそうな王子は言いました。「あなたはエジプトに行かなくちゃいけない」
「僕はずっとあなたと一緒にいます」ツバメは言いました。そして王子の足元で眠りました。
次の日一日、ツバメは王子の肩に止まり、珍しい土地で見てきたたくさんの話をしました。ナイル川の岸沿いに長い列をなして立っていて、くちばしで黄金の魚を捕まえる赤いトキの話。世界と同じくらい古くからあり、砂漠の中に住んでいて、何でも知っているスフィンクスの話。琥珀のロザリオを手にして、ラクダの傍らをゆっくり歩く貿易商人の話。黒檀のように黒い肌をしており、大きな水晶を崇拝している月の山の王の話。シュロの木で眠る緑の大蛇がいて、二十人の僧侶が蜂蜜のお菓子を食べさせている話。広く平らな葉に乗って大きな湖を渡り、蝶といつも戦争しているピグミーの話。
「可愛い小さなツバメさん」王子は言いました。「あなたは驚くべきことを聞かせてくれた。しかし、苦しみを受けている人々の話ほど驚くべきことはない。度しがたい悲しみ以上に解きがたい謎はないのだ。小さなツバメさん、町へ行っておくれ。そしてあなたの見たものを私に教えておくれ」
ツバメはその大きな町の上を飛びまわり、金持ちが美しい家で幸せに暮らす一方で、乞食がその家の門の前に座っているのを見ました。暗い路地に入っていき、ものうげに黒い道を眺めている空腹な子供たちの青白い顔を見ました。橋の通りの下で小さな少年が二人、互いに抱き合って横になり、暖め合っていました。「お腹がすいたよう」と二人は口にしていましたが「ここでは横になっていてはいかん」と夜警が叫び、二人は雨の中へとさまよい出ました。
それからツバメは王子のところへ戻って、見てきたことを話しました。
「私の体は純金で覆われている」と王子は言いました。「それを一枚一枚はがして、貧しい人にあげなさい。生きている人は、金があれば幸福になれるといつも考えているのだ」
ツバメは純金を一枚一枚はがしていき、とうとう幸福の王子は完全に輝きを失い、灰色になってしまいました。ツバメが純金を一枚一枚貧しい人に送ると、子供たちの顔は赤みを取り戻し、笑い声をあげ、通りで遊ぶのでした。「パンが食べられるんだ!」と大声で言いました。
やがて、雪が降ってきました。その後に霜が降りました。通りは銀でできたようになり、たいそう光り輝いておりました。水晶のような長いつららが家ののきから下がり、みんな毛皮を着て出歩くようになり、子供たちは真紅の帽子をかぶり、氷の上でスケートをしました。
かわいそうな小さなツバメにはどんどん寒くなってきました。でも、ツバメは王子の元を離れようとはしませんでした。心から王子のことを愛していたからです。パン屋が見ていないとき、ツバメはパン屋のドアの外でパン屑を拾い集め、翼をぱたぱたさせて自分を暖めようとしました。
でも、とうとう自分は死ぬのだとわかりました。ツバメには、王子の肩までもう一度飛びあがるだけの力しか残っていませんでした。「さようなら、愛する王子様」ツバメはささやくように言いました。「あなたの手にキスをしてもいいですか」
「あなたがとうとうエジプトに行くのは、私もうれしいよ、小さなツバメさん」と王子は言いました。「あなたはここに長居しすぎた。でも、キスはくちびるにしておくれ。私もあなたを愛しているんだ」
「私はエジプトに行くのではありません」とツバメは言いました。「死の家に行くんです。『死』というのは『眠り』の兄弟、ですよね」
そしてツバメは幸福の王子のくちびるにキスをして、死んで彼の足元に落ちていきました。
その瞬間、像の中で何かが砕けたような奇妙な音がしました。それは、鉛の心臓がちょうど二つに割れた音なのでした。ひどく寒い日でしたから。
次の日の朝早く、市長が市会議員たちと一緒に、像の下の広場を歩いておりました。柱を通りすぎるときに市長が像を見上げました。「おやおや、この幸福の王子は何てみすぼらしいんだ」と市長は言いました。
「何てみすぼらしいんだ」市会議員たちは叫びました。彼らはいつも市長に賛成するのです。皆は像を見ようと近寄っていきました。
「ルビーは剣から抜け落ちてるし、目は無くなってるし、もう金の像じゃなくなっているし」と市長は言いました「これでは乞食とたいして変わらんじゃないか」
「乞食とたいして変わらんじゃないか」と市会議員たちが言いました。
「それに、死んだ鳥なんかが足元にいる」市長は続けました。「われわれは実際、鳥類はここで死ぬことあたわずという布告を出さねばならんな」そこで書記がその提案を書きとめました。
そこで彼らは幸福の王子の像を下ろしました。「もう美しくないから、役にも立たないわけだ」大学の芸術の教授が言いました。
溶鉱炉で像を溶かすときに、その金属を使ってどうするかを決めるため、市長は市議会を開きました。「もちろん他の像を立てなくてはならない」と市長は言いました。「そしてその像は私の像でなくてはなるまい」
「いや、私の像です」と市会議員たちがそれぞれ言い、口論になりました。私が彼らのうわさを最後に聞いたときも、まだ口論していました。
「おかしいなあ」鋳造所の労働者の監督が言いました。「この壊れた鉛の心臓は溶鉱炉では溶けないぞ。捨てなくちゃならんな」心臓は、ごみために捨てられました。そこには死んだツバメも横たわっていたのです。
神さまが天使たちの一人に「町の中で最も貴いものを二つ持ってきなさい」とおっしゃいました。その天使は、神さまのところに鉛の心臓と死んだ鳥を持ってきました。
神さまは「よく選んできた」とおっしゃいました。「天国の庭園でこの小さな鳥は永遠に歌い、黄金の都でこの幸福の王子は私を賛美するだろう」
<版権表示>
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プロジェクト杉田玄白正式参加作品。
<版権表示終り>
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豊かな人生のための四つの法則
今日の日経の最終面に小川国夫が煙草への愛を語っていた。小川国夫。高校の頃、国語便覧を見るのが大好きで、どんな作家がいて、どんな顔をしていて、どんな作品を書いているのか、その解説を見るのが楽しかった。笑ってしまうような顔写真の人もいた。小川国夫はその中でなぜか気になった作家。高校の図書館にあったのはハードカバーの本が一冊。ほんの数ページ読んで、重くて借りられもせず、それっきりである。たったそれっきりなのに思い出した。あの時に載っていた写真も。年取ったんだなあと思い、その文章を読んで、気になるし、好きな口調だけれども最後まで読めなかった理由もなんとなくわかった。
音楽を聴いた。
声が好き。前のCDを何度も聴いていて、もう声に飽きたかと思ったけどやはりまた聴いたら歩くのが早くなった。
大相撲初日。朝青龍が負けた。後ろを取られてもなんとか挽回しようとしていたのがいいと思った。波乱の初日。
雑誌がおいてあった。角川春樹について書いてあった。どうしようもないくらいのナルシストだけどその人間性に惚れちゃう人も少なからずいるのだそうだ。
トイレ工事があるということで、工事の人が次々と天井に吸い込まれていった。天井にそんなスペースがあるなんて知らなかったから面白くってずっと見ていた。
空にとんでもなく明るい星がひとつあった。あんまり明るいのでよく知らないけど金星だということにした。ちょっと知ったかぶりして小さな声で「金星が綺麗だなあ」とつぶやいてみた。
太宰治は死後50年たっているので著作権上は問題ありません。
走れメロス
太宰治
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿(はなむこ)として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈(はず)だが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺(ろうや)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「王様は、人を殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を殺したのか。」
「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣(よつぎ)を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」
「おどろいた。国王は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」
聞いて、メロスは激怒した。「呆(あき)れた王だ。生かして置けぬ。」
メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛された。調べられて、メロスの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。
「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。その王の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かった。
「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。
「おまえがか?」王は、憫笑(びんしょう)した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁(はんばく)した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
「なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か。」こんどはメロスが嘲笑した。「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」
「だまれ、下賤(げせん)の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔(はりつけ)になってから、泣いて詫(わ)びたって聞かぬぞ。」
「ああ、王は悧巧(りこう)だ。自惚(うぬぼ)れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。「とんでもない嘘(うそ)を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」メロスは必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」
それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
メロスは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだ。ものも言いたくなくなった。
竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。暴君ディオニスの面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。メロスは、友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言で首肯(うなず)き、メロスをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。セリヌンティウスは、縄打たれた。メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌(あく)る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊(こんぱい)の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。
「なんでも無い。」メロスは無理に笑おうと努めた。「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」
妹は頬をあからめた。
「うれしいか。綺麗(きれい)な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」
メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄(ぶどう)の季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺(こら)え、陽気に歌をうたい、手を拍(う)った。メロスも、満面に喜色を湛(たた)え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」
花嫁は、夢見心地で首肯(うなず)いた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」
花婿は揉(も)み手して、てれていた。メロスは笑って村人たちにも会釈(えしゃく)して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。
眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。メロスは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。
私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞(かんねい)邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、ふるさと。若いメロスは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止(や)み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。メロスは額(ひたい)の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気(のんき)さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧(わ)いた災難、メロスの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫(はんらん)し、濁流滔々(とうとう)と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵(こっぱみじん)に橋桁(はしげた)を跳ね飛ばしていた。彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟(けいしゅう)は残らず浪に浚(さら)われて影なく、渡守りの姿も見えない。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。「ああ、鎮(しず)めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」
濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽(あお)り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻(か)きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍(れんびん)を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。
「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」
「その、いのちが欲しいのだ。」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒(こんぼう)を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙(すき)に、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りたが、流石(さすが)に疲労し、折から午後の灼熱(しゃくねつ)の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈(めまい)を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天(いだてん)、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代(きたい)の不信の人間、まさしく王の思う壺(つぼ)だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎(な)えて、もはや芋虫(いもむし)ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐(ふてくさ)れた根性が、心の隅に巣喰った。私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私の胸を截(た)ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺(あざむ)いた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、セリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。セリヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流を突破した。山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たのだ。私だから、出来たのだよ。ああ、この上、私に望み給うな。放って置いてくれ。どうでも、いいのだ。私は負けたのだ。だらしが無い。笑ってくれ。王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束した。私は王の卑劣を憎んだ。けれども、今になってみると、私は王の言うままになっている。私は、おくれて行くだろう。王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。そうなったら、私は、死ぬよりつらい。私は、永遠に裏切者だ。地上で最も、不名誉の人種だ。セリヌンティウスよ、私も死ぬぞ。君と一緒に死なせてくれ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。村には私の家が在る。羊も居る。妹夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろう。正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい。やんぬる哉(かな)。――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。
ふと耳に、潺々(せんせん)、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々(こんこん)と、何か小さく囁(ささや)きながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。水を両手で掬(すく)って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復(かいふく)と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。
私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。メロス、おまえの恥ではない。やはり、おまえは真の勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい! 私は、正義の士として死ぬ事が出来るぞ。ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、ゼウスよ。私は生れた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。
路行く人を押しのけ、跳(は)ねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴(け)とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人と颯(さ)っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。
「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞えた。
「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。
「フィロストラトスでございます。貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方(かた)をお助けになることは出来ません。」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。
「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」
「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! フィロストラトス。」
「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」
言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、メロスは走った。メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。
「待て。その人を殺してはならぬ。メロスが帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」と大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉(のど)がつぶれて嗄(しわが)れた声が幽(かす)かに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。すでに磔の柱が高々と立てられ、縄を打たれたセリヌンティウスは、徐々に釣り上げられてゆく。メロスはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆を掻きわけ、掻きわけ、
「私だ、刑吏! 殺されるのは、私だ。メロスだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、齧(かじ)りついた。群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。
「セリヌンティウス。」メロスは眼に涙を浮べて言った。「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君が若(も)し私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」
セリヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯(うなず)き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑(ほほえ)み、
「メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」
メロスは腕に唸(うな)りをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。
「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
群衆の中からも、歔欷(きょき)の声が聞えた。暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶(かな)ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
どっと群衆の間に、歓声が起った。
「万歳、王様万歳。」
ひとりの少女が、緋(ひ)のマントをメロスに捧げた。メロスは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
勇者は、ひどく赤面した。
(古伝説と、シルレルの詩から。)
青空文庫より
本日昼ごろ、14文字のメールにより振られました。よってしばらくブログはお休み。今まで話を聞いてくれた方々ありがとうございました。
来年の冬の国体は野沢温泉で行われるらしい。野沢温泉の素晴らしいポイント。それは、観光地というよりも、そこで生活をしている人がいるからほっとする。スキー場近くの知り合いの家に遊びに来た感じなのである。源泉かけ流しの温泉にも無料で入れるのも嬉しい。スキー場も素晴らしい。初心者コースから上級者コースまでそろっていて、とても広く、スキーヤーのほうが多いくらいなのでスキーヤーにとっては滑りやすい。リフトやゴンドラもかなりいいものが整備されている。上手な人が多い。幼稚園児からおじいさんまで滑っているのも楽しい。「来年で70ですよ。はっはっは。来年は指導員試験を受けます」とリフトでいいながら、ゲレンデでは物凄い勢いでかっとんで追い抜いて行くのである。スキーそのものを楽しんでいる感じの人が多いので好き。ジャンプ台でジャンプしている人を初めて見たのもここ。飛ぶというよりも落ちるというほうが正しいというコメントの意味がよくわかった。
東京では桜の木が赤く染まってきている。もう3月。急にとろろ昆布が食べたくなって、買って帰った。